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オタクの巣窟ですが、何か?
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SS進んでないのに、挿絵を先に描いている罠。

クリスマスのSSだ・よ・な!

いい加減書き進めましょう。

瞳の奥に焼きついて離れない、赤く血塗れた白い壁が。
耳にこびりついて消えないの。幾重にも木霊する断末魔の叫びが。
ねえ、こんなに罪深い存在でも、幸福を願うことくらいは許されるのかしら?



───Wish your Merry Christmas───



絶え間なく降りしきる雪が、大地を白一色へと塗り込めていく。
夥しい流血の痕跡を隠そうとするかのように、先に地面に降り立った同胞(はらから)を包み込み、やがて色のない絨毯のように、世界を覆い尽くしていった。
時折獣が餌を求めて彷徨う以外は単調なモノトーンの世界を、モニターの向こうから、美しいと評する者もいるが、そこで生きるものや、生身で雪原を旅するものたちにとっては、辛く苦しい世界に他ならない。
そんな、音も色も忘れ去られたかのような静謐な世界を、陰鬱な影が走り抜けたことを知るものは、いなかった。
影は、いくつも連なり、白い風を巻き起こしながらひたすら東南を目指し、やがて白の切れ目に煌々とした明かりが見えたところで、ようやく停止した。
動きを止めて、はじめてそれが漆黒のローブに覆われた人影であることがわかる。
その数は10。
皆、しばしの間、声もなく明かりに目を奪われて立ち尽くしていた。

「ねぇ、あそこにニンゲンがたくさんいるんだよね?」

最初に沈黙を破ったのは、もっとも小柄な影で、その幼さの残る声から少女と知れる。
声を弾ませてフードを跳ね上げ、大きな瞳でしげしげと明かりを見つめた。

「そうだね、『街』にはニンゲンが大勢集って暮らしていると本に記載されていたね。
キルベドで見た資料が間違っていなければ、あそこが『レイキャビク』。
僕らの目指す街だよ。」

長身の影が穏やかな声色で答える。少女に倣ってフードを背中に落とすと、銀糸のような髪がはらりと零れ出た。整った容姿は女性を思わせるが、その長身と穏やかながらも低く響く声が男性であることを告げていた。
次々と残りの人影もフードを払いのけてゆく。
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プロフィール

HN:らふぃ
原産地:東北地方
生息地:九州地方
食性:雑食
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